勝ち組、負け組とはいうけれど
こうした分類には、ほとんど意味がないということは、誰でも知っていることだと思うが、日本のマスコミで最近よく使われていたように思う。アメリカのマネをして、こんな意味のない言葉まで輸入して悩んでいたとしたら、それも戦争に負けてから、心まで負けてしまっていたからか。歴史のある国なのだから、そんなコンプレックスをもつ必要もないと思うが。今回の恐慌前夜のアメリカの状態にぜひとも平家物語のこの言葉を贈りたいと思う。この言葉を授業中にアメリカの子供たちに教えることは、株のもうけ方を教えるよりははるかに意義があることと思う。
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす
おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし
たけき者もつひには滅びぬ ひとへに風の前の塵に同じ
この世は、たえず変化していてとどまるところがない。そうした中で、勝ち組とか負け組とかいう分類の仕方には、なんの意味もないと思う。強いて言えば、最終的には、すべての人が時間のながれに負けて、この世から姿を消して行く。だから、すべての人が、永遠に続く真実をつかまないかぎり、負け組なのだ。
リーマン・ブラザーズの何かを買って一億円の損失を出した日本のどこかの社会福祉団体の話をニュースでしていた。もうけるつもりが、すべてパーになってしまった訳だ。なぜ、社会福祉団体までもが、そんな風にリスクのある投資をしなければならなかったのか。本来なら、そうしたもうけ話から一番遠いところの地味な仕事のはずだがすっかり最近の風潮に巻き込まれてしまったようだ。
アメリカ発の欲望が世界中を駆けめぐり、しかも、破綻しようとしている今、もう一度、自らの内面を見つめ、永遠に変化することのない、確かな平安と喜びを求めて、人生を立て直す必要に迫られている人たちが、たくさんいるのではないだろうか。
こうしたたいへんな時期に精神的に落ち込んでしまった人たちへの薬師堂のお勧めは、
第一に 恥も外聞もなく、偉大なる母に救いを求めよう!
第二に 毎日大きな声を出して、般若心経を唱えよう!
第三に 気功、太極拳を通して、なにものにも依存しない自律した精神状態を獲得しよう!
こうすれば、だいぶ精神的に落ち着きを取り戻すことができます。自分の内にある本来の喜びに気づくことが一番です。