毎日たくさんの人たちが、事件事故、病気や災害、戦争で亡くなっています。中にはアルバイト感覚で押し入った強盗に殺されるという痛ましい事件も発生しています。ここまでくると世も末だなと思います。こんな世の中にもかかわらず、今の政府は何を子供たちに教えるのかと思ったら、投資の方法を教えるのだそうです。そんなことで本当に子供たちの心が救われて世の中がよくなると思っているのでしょうか。
般若心経を唱えると傷ついた心が癒やされて、生きる元気がしだいに湧いてきます。それはなぜなのかといえば、そこには生きるということの不変の真理が語れているからでしょう。般若心経は、この世は、倒錯した夢の世界だと言います。それは、なぜかと言えば、「無いものを有ると錯覚している」からです。そして、なぜ苦しみが生じるかというと「さらにその無いものに執着している」からです。「無いものを有ると錯覚しそこに執着することであらゆる苦しみ災厄が生じる」。たとえば、今回のウクライナの戦争を考えてみると、プーチンという独裁者の頭の中にあるソ連の栄光という古い概念が、ウクライナは自分ものだと思いこみ執着することで、戦争を起こし、すでに両国合せて30万以上の人たちが死傷しています。だから、プーチンがそんな物は無いと言うことに気づき、執着を捨てることさえできれば、ただちにこの戦争という悲劇も終わります。
では、なにが倒錯しているのかというと、一般的には、人は肉体がすべてだと思い、固定観念、既成概念に囚われ、食欲、性欲などの衝動に突き動かされて生きているからです。しかし、般若心経を唱えたり瞑想を深めて、そのエゴや欲望を消していった時に、その実態が、実は、周りの「空間」にあるということに気づていきます。つまりは、主は「空」にあり、肉体や想念は、その空間の上に映し出された映画のような虚像にしかすぎないのです。
人は、家族や恋人、友人の死や喪失にひどいショックを受けて、心が壊れて、抑鬱状態に陥りますが、よく考えて見れば、自分自身でさえもいつ肉体を離れこの世からいなくなってしまうのかもわかりません。だからこそ普段から般若心経を唱える事で、この世が倒錯した夢の世界でしかないということを体感として悟ってゆき、執着から離れて、自由な解放された空間と一体化してゆくことが大切なのだと思うのです。
普段の生活では、目の前のことに気をとられて、本当の自分自身を見失い、狭い意識の枠に囚われがちです。だからこそ、こうして時には、見晴らしの良いところで般若心経を唱えて、本来の自分自身に帰ってみるのもいいのではないでしょうか。