覚え易い般若心経解説2

今日は、般若心経の後半を解説してみたいと思います。後半の中心になる言葉は、般若波羅蜜多という言葉です。般若とは、智慧、波羅蜜多とは彼岸に至るということなので智慧の完成とか言われてますが、これは覚醒した深い意識の状態と言えると思います。①の般若波羅蜜多に次く心無罣礙は、罣は「障り」礙は「妨げ」なので「何かにこだわりひっかかっている」ことだそうで、日常的によくあることです。私たちは、仕事でつまずいたり、夫婦や親子喧嘩をしたり、友人ともめたり、次から次へといろいろなことがおきて、いつも何かが心にひっかかっているのではないでしょうか。故心無罣礙とは、そんな心配も覚醒した深い意識の状態では、まったく気にならず心にひっかかることがなにもないということ。無罣礙故 無有恐怖は、心に引っかかるものがないので、恐れるものもない。だから、遠離一切顚倒夢想で、一切の倒錯した夢の世界、すなわちこの世から遠く離れている。そして、究竟涅槃で、この世の輪廻の輪から解放されて完全な静寂の世界へと帰ってゆく。

だから、三世諸仏、つまり過去、現在、未来の仏は、この②般若波羅蜜多によって、阿耨多羅三藐三菩提を得る。阿耨多羅三藐三菩提とは、サンスクリット語の音写のようで、最もすぐれた正しい知識の意味だそうで、生死の迷いを去って、一切の真理を悟った、仏の完全な悟りの意味で、無上正覚とも言うそうです。

そして、③般若波羅蜜多の後に、この大神呪であり、大明呪であり、無上呪であり、無等等呪であり、能除一切苦であり、真実不虚の言葉が続きます。呪とは、呪いの言葉ではなく、真言、マントラのことです。故知とその前にありますので、故に知るべし般若波羅蜜多は、偉大な神の真言であり、それが明らかなもんであり、最高のものであり、他に比べようが無く一切の苦を取り除くこができて、嘘のない真の言葉だという。

そして、最後に、④般若波羅蜜多に即説呪曰で、具体的なマントラを説いている。
羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提娑婆訶
このマントラは、サンスクリット語の音写でしょうから、その意味よりもこの音を唱えて体に響かせることに意味があるのでしょう。念のためだいたいの意味を調べて見ると、羯諦は行く、波羅は向うへということで彼岸、僧羯諦は到達するという意味があり、菩提娑婆訶の菩提は仏の悟りを、娑婆訶は成就するという意味があるそうです。
ちなみにサンスクリット語では

「gate gate para-gate para-sam-gate bodhi svaha」
 「ガテーガテー パーラガテー パーラサンガテー ボジスヴァハ」

と発音するようです。

後半は、般若波羅蜜多を中心に4つのブロックに分けられました。こうすれば、だいぶ覚え易いのではないでしょうか。般若心経をサンスクリット語で唱えている人もいるでしょうか。自分は、最後が母音で終わる日本語が、ゴ~ンと鳴る鐘の響きのように身体に響かせることができるのでいいではないかと思っています。意味よりも響きによって瞑想状態に入り、般若波羅蜜多の意識の状態に近づいていくことが大切だと思います。逆境にある時は、本当に苦しいですが、その苦しさを逆手にとって、集中して真剣に唱えれば、かえって修行も進み、深く入り真理に気づくチャンスになるかもしれません。少なくとも意識の深い所にアクセスすることで、周りの状況を好転させる可能性もあります。

以上で覚え易い般若心経を終えますが、一人でも多くの人がこれを機会に覚え、暗誦できるようになれば幸いです。

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