鍼と禅

ラマカント・マハラジの「自己なき自己」を読み終えて、鍼の師匠である横田観風先生の「鍼と禅」という本を読み始めた。難しいそうな本に見えるが、わかりやすく鍼灸などのことを解説してくれた読み易い本である。自分の身体の病的状態からの回復の様子から、病の原因、治療法を解き明かしてくれているので、とても分かり易い本です。ぜひ、興味のかる方は、ご一読ください。

最近は、気功もそうだが、レキキとかヒーリングとか安易に人を治療する人がいるが、それは実はなかなか危険なことだ。そのことが、先生の本の中に書いてあるので、ここで少し引用してみたいと思います。

以下引用

「毒」は人体生命にとって不都合な実態として感じられましたが、「邪気」はどうでしょうか。先ほど述べたのですが、開業したばかりの頃、患者さんを2,3人治療すると寝込んでしまったのですが、これにはまだ治療が未熟で長い時間がかかって疲れたこともあったでしょうが、実は患者さんの「邪気」を浴びて私の体調が崩れてしまったことも原因の一つだったのです。
 体調が虚弱な人は、大抵の場合、気に敏感になります。人体生命を守り、維持するための体内エネルギーが充実していないためなのか、あるいは外界の変化から身を守るために敏感に反応するからなのか分かりませんが、とにかく敏感です。

例えば患者さんの中には、南方海上に台風が発生しただけで喘息発作が起こる人もいますし、低気圧が近づく前に必ずどこかが痛くなったり、体調が崩れて天気予報ができる人もいます。
 また映画館や電車の中などで隣に座った人と接近しているだけで、どこかが痛くなってしまう人もいます。たぶん私の場合も、患者さんの「邪気」を受けて具合が悪くなったと思われます。

とくに癌や難病などの患者さんの場合、体内から「邪気」が強く感じられる日と、あまり感じられない日があります。それは体内の「毒」が活性化して毒性が増大している場合に、体外より強い邪気を放射することによるのです。
 家族にこのような重篤な病を抱えた人がおられる場合、身内の人が少しでも楽になってもらおうと患部に手当をしてあげると、今度は強い「邪気」を受けてその人が重病になられた例が多いのです。注意が必要です。

 また私が外部の研究会に招かれて講師や研修指導をした後、参加者から「患者さんに針治療をすると邪気を受けて具合が悪くなり、治療をするのが恐くなるのですが、どうしたらよいでしょうか」と質問を受けることが多いのです。
 私も若い頃に同じことで苦しんだ経験があるのですが、私の場合は「たとえ邪気を受けてどれほど具合が悪くなっても、患者さんが楽になってゆくならよいではないか。たとえそれで死ぬことがあっても本望だ」と覚悟を決めたというか、肚を据えたら「邪気」を受けてもビクビクしなくなり、影響を受けてもすぐに消えてしまうようになったから不思議でした。

以上引用終わり

鍼でも指圧でも気功でもヒーリングでも、こうした治療をする人は、必ず邪気を受ける。だから、それに対抗できる方法を学び日々実践することが大切だ。そして、なんと言っても一番大切なのは、横田観風先生が言っているように覚悟を決めるということだろう。覚悟のないまま人の体に触れては大変なことになるので、気功教室でもあまり人に気入れたりすることは教えていない。まずは、自分自身がすべての苦悩や悲しみから解放されて、自由と喜びを味わうことが大切だと思うからだ。そして、最近は、般若心経を皆で唱えることを勧めているのは、この地域、国、地球という全体の気場を上げてゆき、人も自然も社会も浄化されて自然で楽しい暮らしができることを願ってのことだ。

 

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