すべては振動している

音が伝わるのは、空気があるからだ。そのため真空に近い宇宙空間では、音は伝わらないと言う。私たちが生きていけるのも、空気があるからだ。しかし、普段の生活の中では、ほとんどその空間に意識を向けることはない。それは、まるで魚が、水の中を自由に泳ぎながら、水の存在をまったく意識できてないことに例えることができる。唯一その存在の有難さを意識するのは、そこから出てしまった時だけだろう。毎日、般若心経を唱えているとすべてが振動していることに気がつく。そして、その振動が自分の身体だけに留まらず周りの空気おも振動させている。地球上にいる人は、皆、この空気の層によって繋がっている。自分から発した波動は、この空気の層を通して世界中に広がっている。そう思うと毎日の読経もなんだか無限の広がりをもってきて気持がいい。

般若心経を読んでいて感じるのは、身体の中を振動する生命エネルギーの充実だ。それは身体の中心から湧き上がって、両手足の先まで満たしてゆく。この間も腰痛の患者さんが来たが、針を腰に打ち、針を通して気を送り、腰の痛みを足の方に誘導して痛みを取っていった。痛みというのは、負傷した筋肉に神経細胞が異常興奮して振動数が上がっている状態なので、そのエネルギーを足の方に移動すれば、熱が引き炎症が治まり、しだいに痛みも消えてゆく。気に対して敏感で気の流れ易い人ほど、効果が高いが、個人差があり、炎症の程度により治り方も変わってくる。

このように生命エネルギーの流れとして人体を捉える時、そこには喜びしか存在しない。観世音菩薩の意味は、この世の働きをエネルギーの振動として捉え、それを観ることによって菩薩の境地に至ることができるという意味なのだと思う。空とは何も存在しないという意味ではなく、あらゆる物のエネルギーの振動で満ち満ちている空間という意味なのだろう。そのように世の中を捉えることができれば、1%の人間がこの世のほとんどの富を独占するなどという愚かなことはなくなるし、無駄な規制で命を削ることもなくなり、すべての人が平等で明るく健康な生活を送ることができるようになるのではないかと思う。

 

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